この記事では初めてのアコーディオンを選ぶときの6つのポイント
・ピアノ鍵盤かボタンか
・左手ボタンの数
・右手鍵盤/右手ボタンの数
・音色切り替えスイッチの数(リードの組み合わせ)
・重量
・アコースティックか電子か
について書いていきます。
ピアノ鍵盤かボタンか
アコーディオンには右手側(演奏者の右手側)がピアノ鍵盤(いわゆる鍵盤)の楽器と右手側もボタンの楽器があります。昔からある決着のつかない(おそらくこれから先もつかないであろう)アコーディオン論争の1つに「ピアノ鍵盤がいいかボタンがいいか」がありますが、ピアノ鍵盤、ボタン、それぞれに良さがあります。
好きな方を選べばよいのですが、どちらを選ぶか悩んでいる方はピアノ鍵盤アコーディオンとボタンアコーディオン、どちらがいい?を参考にしてください。
ボタン式って何? という方はボタンアコーディオンとは?へどうぞ。知っていて損はありません。
左手ボタンの数
左手ボタン→演奏者の左手側のボタンのことです。
アコーディオンには左手ボタンが多い楽器、少ない楽器があります。
数のことだけ言いますと、すぐにやめるかもしれないけどとりあえず始めたい方は32個(32ベース)。いろいろ弾きたいから頑張れるという方は60個(60ベース)以上がおすすめです。
アコーディオンの左手ボタンの数を表す言葉がベースです。60ベース→左手ボタンが60個ある ということです。(ややこしい話になりますが演奏時にはベースは低音を表す言葉になります。)
私の教室ですと60ベースの楽器で中級レベルまで弾けます。72ベースあれば上級の一部を除くほとんどの曲が弾けます。
さらに詳しくお知りになりたい方はアコーディオンの選び方/左手ボタンの役割と数についてへどうぞ。
右手ピアノ鍵盤数、ボタン数
これは演奏者の右手側のピアノ鍵盤または右手側のボタンの数のことです。
右手側のピアノ鍵盤・右手ボタンも数の多い楽器、少ない楽器があります。あまり少ないと弾ける曲が限定されてきます。
ピアノ鍵盤アコーディオンは主に26鍵、32鍵、34鍵、37鍵、41鍵タイプがあります。
ミュゼットやモンティのチャルダッシュなどを弾きたい方は26鍵では足りません。26鍵は初級向けの簡単な曲を弾く分には良いのですが、音域の広い曲では足りなくなります。できれば34鍵は欲しいところです。
ボタンアコーディオンはピアノ鍵盤アコーディオンに比べてボタンを多く並べられることもあり、入門機でもボタンが足りなくなることはほとんどありません。
音色切り替えスイッチの数(リードの組み合わせ)
アコーディオンの音を鳴らす金属笛のことをリードといいます。これも組み合わせの多い楽器、少ない楽器があります。
リード(金属笛)の組み合わせを変更するスイッチを音色切り替えスイッチ(レジストスイッチ)といいます。
以下がその種類です。
書くとこうなりますが、実際の音を聞かないと分からないと思いますので、以下の動画をご覧ください。
入門機ですとMMの2枚リード(音色切り替えスイッチなし、または音色切り替えスイッチ数2)か、MMLの3枚リード(音色切り替えスイッチ数5)が多いです。スイッチの無い楽器は大抵はMMが鳴ります。
重量
昔からあって決着がつかない(おそらくこれから先もつかないであろう)アコーディオン論争がもう1つありまして、それは「初めに買うのは入門機か高級機か」です。
高級機という言葉にははっきりとした定義はありませんが、ここでは120ベースまたは96ベースでリードの質が良く、右手の音色切り替えスイッチが5つ以上で価格帯が40万円以上のものとします。
高級機派の主な意見は
「そのうち左手ボタン数が足りなくなって買い替えることになるのだし、入門機といえど安くはないのだから、初めから120ベースの高級機を買うのが良い、なんといっても音が良くて弾きやすい」というものです。
一方の入門機派の主な意見は「高級機となると40万〜80万、物によっては100万円を超える。とても入門という金額ではない。まずは入門機で始めて、続けられそうだったら高級機を買えばよい」というものです。
この段の始めにも書いた通り、この論争に決着がつくことは無いと思われます。
少し違う視点で意見を述べますと……
私を含め周りのアコーディオン弾きは2台以上持ちが多いのです。なぜかというと・・・この段落の見出しの重量の問題です。高級機はリードの枚数も多くなり本体も大きくなるので11~16kgくらいになります。
高級機を購入→外で演奏する機会が増えたので小さめのアコーディオンも購入
または、
加齢で重たい楽器が辛くなってくる→小さめのアコーディオンを購入
このようなルートを辿る方が多いのです。
2台持ちのもうひとつのルート
入門機購入→色々と弾けるようになったので高級機を購入
も勿論よくあるのですが、この場合も場面に合わせて再び入門機を引っ張り出すということがよくあります。
このような事例を多く見てきたので、私は初めに買うなら入門機で良いと思っています。私は仕事柄アコーディオンを何台も持っていますが、メインで使うのは120ベースと72ベースの2台です。場面に合わせて使い分けています。
何kgあると重く感じるかは人により違うので一概には言えませんが、70歳手前になると男性だと12kgを超える楽器、女性だと9kgを超える楽器を重たく感じるようになることが多いですね。
アコースティックか電子か
ローランドの電子アコーディオン「Vアコーディオン」の登場により、2台目に電子アコーディオンを選択する方も増えています。なんといってもヘッドフォンで夜間に練習できるのが魅力です。ここ数年は入門機に電子アコーディオンを選択する方も増えてきました。
個人的には、アコースティック(本来の電気を使わないアコーディオン)に興味がある方は1台目はアコースティックを選ぶのが良いと思っています。
かなり良くなったとはいえ、電子アコーディオンの蛇腹はアコースティックの蛇腹よりも楽ができます。そのため電子→アコースティックの持ち替えをすると「こんなに蛇腹を動かさなくちゃいけないんですか!?」と面食らう方がほとんどです。逆は大丈夫なのですけれどね。なので、アコースティック楽器に興味がある方はまずは1代目は電子ではなくアコースティック楽器が良いと思います。
弾ける時間帯が夜に限られる、住宅事情で電子アコーディオン以外は考えていない、または電子アコーディオンに興味があるという方は、1台目から電子アコーディオンで良いと思います。
私はアコーディオンの講師をしているとはいえ子育てもしているので、自分の好きな曲を弾くのは夜しかできず、電子アコーディオンは重宝しています。録音機器とーラインでつないで録音できるのもありがたいですね。
電子アコーディオンの内臓スピーカーからの音はそれなりです。楽器本体から出る音についてはアコースティック楽器に軍配です。
ヘッドフォンから聞こえる音、ライン入力した音は綺麗です。
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以上、アコーディオンを選ぶときの6つのポイントについて解説しました。