このページではアコーディオンの楽譜のきまりについて、主に左手の楽譜の読み方について書いています。アコーディオンの左手の楽譜には独自のきまりがありますが、それ以外は楽譜(五線譜)のきまりに沿っています。楽譜そのものの基礎知識についてはアコーディオンの楽譜を読む前の基礎知識をご覧ください。
*これからアコーディオンを始めようという方へ*
楽譜は弾ける程度に読めるようになっていきます。つまり、ここを読んでいきなり楽譜のことが分かるものでもありませんので、「分からない! やっぱりできない!」と思い込まないようにしてください。
右手の楽譜と左手の楽譜
アコーディオンの楽譜は五線譜を使います。上の段が右手、下の段が左手です。
(教則1巻9頁より)
上の図にはいろいろ書いてありますが、見て分かる人はそれでO.K.ですし、この記事を読んでいるこの段階では、上の段が右手、下の段が左手が分かっていればとりあえず大丈夫です。
楽譜の基礎的なことについて(ト音記号、へ音記号、速度記号、縦線など)は
アコーディオンの楽譜を読む前の基礎知識
に書いてあります。(この記事の最後にもリンクを貼っておきます。)
アコーディオンの左手楽譜を読む前の準備
記事「アコーディオンの左手ってどうなっているの?」をすでにお読みの方には、縦列、横列の話は重複する内容となっております。ご了承ください。
アコーディオンの左手ボタン 縦列
ここでは一般的なストラデラベース(スタンダードベース)の配列の話をします。
アコーディオンの左手ボタンには大きく分けて2種類、ベース(低音)とコード(和音)があります。
下の図は楽器を正面から見たときの図です。左側が蛇腹(空気を送り込むためのひだ状の部)になる向きです。
蛇腹から縦2列がベース(低音)、あとの縦4列がコード(和音)の列です。
ベース2列は
・対位ベース列
・基本ベース列
コード4列は
・メジャーコード列(M列)
・マイナーコード列(m列)
・セブンスコード列(7列)
・ディミニッシュコード列(dim列)
に分かれます。
(アコーディオンによって左手ボタンの数の多い少ないがあります。これについてはアコーディオンの選び方/左手ボタンの数と役割についてで詳しく解説しています。)
アコーディオンの左手ボタン 横列
横列にも呼び名があります。基本ベースの音名が横列の名前になります。呼び方はイタリア音名(ドレミファソラシ)、英音名(CDEFGAB)のどちらでも構いませんが、コードネームは英音名を使っているため、英音名は覚えておく必要があります。
以下、よく使う列の名前を書いておきます。
各列にはその音を基にして作るコードが並びます。
ドの列(C列)にはC(CM)、Cm、C7、Cdim が並びます。
ソの列(G列)にはG(GM)、Gm、G7、Gdim が並びます。
メジャーコードを表すMはコードネームのときには省略することがほとんどですが、アコーディオン配列表では省略せずに書くことが多いです。私の教則本の配列図でもMを書いています。
楽譜(五線譜)のドの位置
楽譜上の音の位置の読み方を徐々に覚えていく必要がありますが、とりあえず
ドの位置を覚えてください。
アコーディオンの左手の楽譜の読み方
ベースボタンの指示
アコーディオンの左手には大きく分けてベースボタンとコードボタンの2種類がありますが、どちらのボタンの指示かをはっきりさせるために、アコーディオンの左手の楽譜には独自のきまりがあります。
第3線(真ん中の線)より下に書かれた音符はベースボタンの指示です。
ひとつずつ見ていきましょう。
1小節目1拍目はベースのドを指示しています。初級のうちは基本ベースしか出てきませんので、基本ベース列で探してください。
1小節目3拍目と2小節目の1拍目はベースのソを指示しています。
音符の上下とボタン位置の上下は関係がないことに注意です。
2小節目3拍目は再びベースのドです。
この例の楽譜の2小節目3拍目はベースボタンとコードボタンが縦並びに書かれています。これについては後でまた説明します。
コードボタンの指示
第3線(真ん中の線)より上に書かれた音符はコードボタンの指示です。
音名→左手ボタン横列の指示
種別→左手ボタン縦列の指示
です。
こちらもひとつずつ見ていきましょう。
1小節目2拍目の音符は音名がド、その上に種別のMが書いてありますので、
横列はドの列(C列)
縦列はメジャーコード列(M列) の指示です。
CMのボタンが該当箇所です。
次、1小節目4拍目は
横列がソの列(G列)、縦列がセブンスコード列(7列)の指示なので、G7ですね。
次の2小節目1拍目にはコード種別の指示が書かれていません。
同じコードが続く場合は種別を書かないことがほとんどです。なのでこれはコードG7です。
2小節目3拍目は再びコードCの指示ですが、
この拍はベースの音符も書かれていますね。縦並びに書かれている場合は同時に押さえます。
こうなります。
コード種別に m と書いてあったらマイナーコード列、dim と書いてあったらディミニッシュコード列の指示です。
音色(リードの組み合わせ)の指示
もうひとつ、アコーディオン楽譜独自のものに、音色(リードの組み合わせ)の指示があります。
写真の黄色で囲った部分を音色切り替えスイッチといい、これを押して音色(リードの組み合わせ)を切り替えます。レジストスイッチやメロディスイッチと呼ばれることもあります。楽器によっては右手側側面や裏面に付いていたり、ひとつも付いていなかったりということもあります。この音色切り替えの指示記号が以下です。
(教則1巻8頁より)
音色切り替えスイッチそのものに付いている点々もこれと同じ意味です。ローランドのVアコーディオンは機種によってこの記号が書いてない場合もありますが、数字+アルファベットの組み合わせがどのリードの組み合わせになるかは説明書を見て把握しておきましょう。(例 FR-1の3A→M)
・・・
はMが3枚です。
基本的な指の置き方
鍵盤式アコーディオン 右手
(教則1巻6頁より)
気をつけたいのは手首の位置です。しがみつかないように、手首の位置が鍵盤の付いている面より自分の体側にならないように気を付けてください。そのためには肘を少し前に出すとうまくいきます。高い音(床に近い方)を弾くときには肩、肘ごと床方向に下げます。
ボタン式アコーディオン右手(イタリー配列/Cシステム)
(教則1巻6頁より)
特にことわりが無ければ、国内で入手できるボタン式アコーディオンのほとんどはこのイタリー配列(Cシステム)です。ローランドのVアコーディオンのボタン式の初期設定もこのイタリー配列です。私の教室ではこのイタリー配列をお教えしています。
楽器の大きさによってボタン数は違ってきます。
右手の指番号と一緒に〇や×が書かれている場合は補助列(追加列)の指示です。
私の教室では指を5本とも使います。補助列の指示には◯を使っています。
指を5本とも使う場合は、特に1の指(親指)の位置が重要で、1の指は主に1列目(楽器の縁の列)を使い、手全体が補助列方向に位置しているときには2列目、まれに3列目にも1の指を使うことがありますが、4列目以降に使うことはほとんどありません。
1の指(親指)は指の側面で弾きます。2~5指(人差し指から小指)は指の腹で弾きます。
*補足*
ボタン式アコーディオンの運指には大きく4タイプ、
指を3本使う(親・人・中指)
指を3本使う(人・中・薬指)
指を4本使う(人・中・薬・小指)
指を5本使う
があります。親指を使わない場合は楽器の側面や裏側に親指を当てます。
ボタン式アコーディオンの教則本は、書いた人ごとに指番号がバラバラです。同じ本数を採用していても人によって運指が違うので、何冊も入手して読めば読むほど分からなくなります。親指を使わない運指の教則本の中には、親指を0、人差し指を1、中指を2・・・と表記してあるものがあり、このタイプを入手して採用する場合は読み方に注意してください。
私が5本指を採用したのは本数が多い方が指を替えたりくぐらせたりの回数が少なくなるからです。あと鍵盤式で指を5本とも使っていて1の指(親指)の使用に抵抗がなかったことも5本指採用の理由のひとつです。
3本タイプの運指や4本タイプの運指の流用も可能なため、フレーズ(旋律のまとまりのこと)によっては、このフレーズでは結果的に3本しか使わなかった、4本しか使わなかった、ということもあります。
アコーディオン 左手ボタン/ストラデラベース(スタンダードベース)
(教則1巻7頁より)
特にことわりがなければ国内で入手できるアコーディオンのほとんどがストラデラベース(スタンダード)ベースです。
左手の基本の指の置き方は
基本ベース‐4
Mコード‐3
mコード‐2
7コード‐2
dimコード‐2
です。初~中級に進むとベースを4の指以外で押さえることが出てきますが、その場合も基本の置き方をしっかりと覚えていることが大前提となります。
指が寝ると押さえたいボタン以外のボタンに触れてしまいますので、指を曲げてボタンの真上から押さえられるくらいに手を差し込みます。
対位ベースは基本的に4の指を使いますが、ベースボタンを何音か連続して演奏する場合(ベースソロ)ではその限りではありません。
対位ベースの使用は初~中級からになりますが、これも基本ベース+コードの手の型がしっかり身に付いていることが前提の学習になります。
基本的には五線譜のきまりと同じ
アコーディオン教則本と楽譜(ボタン式)
アコーディオン教則本と楽譜(鍵盤式)
小さいアコーディオン(8~24ベース)でも弾ける 楽譜一覧
アコーディオン楽譜 季節の歌(無料配布)