この記事は「練習のコツ - 時間配分」を書き直したものです。
ここに書いた練習方法は画期的だと思うのですが、私の説得力が足りないのか実際の教室の生徒の心には響きませんでした。全くです。あまりにも画期的すぎたのでしょう・・・。そう、画期的すぎた、それ、つまり
裏技
ですよね。ですよね!? ・・・そういうことにしました。
私、もうひとつ裏技を持っていますので、それを加筆し「楽器練習の裏技」として記事をまとめ直しました。裏技大好きな皆さん、よろしくお願いいたします。
裏技1 楽譜通り弾くための練習時間を短縮 - CM練習法
とりあえず楽譜通りに早く仕上げられると、曲想や音色切り替えなどの曲の仕上げに時間をかけることができます。弾いていて楽しいのはやっぱり間違えずに通して弾けたときですよね! 通しで弾く楽しさを早く味わうために、楽譜通りに弾くための練習時間を短縮しようというのが、このCM練習法です。
一度に長い時間練習するより、20分や30分に分けて1日3回練習した方が効果が高いことは割とよく知られています。受験勉強のテクニックでも苦手箇所を一日のうちに何回か見直すというテクニックがありますがあれと同じです。
とはいえ、社会人の皆さんは「朝に20分、昼に20分、夜に20分なんてとても無理、毎日練習できるかどうかだってあやしいのに」という方も多いと思います。
そもそもなぜ細切れ練習が効果が高いかというと、ちょっと忘れる→思い出す→ちょっと忘れる→思い出すを繰り返すからです。ちょっと忘れたものを思い出すことによって記憶が強化されるんですね。何年か前にみた2時間ドラマの内容は忘れていても当時はやっていたテレビコマーシャルは覚えている、ということはあると思います。これもちょっと忘れる→思い出すを繰り返したからです。
だったらこの ちょっと忘れる←→思い出す を1回の練習中にやってしまおうというのがこれからお伝えするCM練習法です。具体的にどうするかというと、
A曲の部分練習→B曲の部分練習→C曲の部分練習→A曲の部分練習→B曲の部分練習→C曲の部分練習・・・
というように苦手な箇所だけ取り出して順番に練習していきます。次々取り掛かれるように取り出す部分の楽譜に印をつけておくとよいでしょう。弾けるようになった部分は外していきます。
長い曲でしたら
1ページ目の部分練習→2ページ目の部分練習→3ページ目の部分練習→1ページ目の部分練習→・・・
でもよいでしょう。
ものすごく苦手な箇所がある場合は
A曲の部分練習→苦手箇所→B曲の部分練習→苦手箇所→C曲の部分練習→苦手箇所
とこまめに挟んでやるとさらに効果的です。
取り出す部分は1小節~長くても8小節くらいにします。一部分にかける回数は1~4回くらいです。これを生徒に言うとみんな驚いたような顔をします。そんなんで本当に覚えられるのだろうかと・・・。
私は仕事で2週間のうちに10曲覚えなくてはいけない大変なときにこれをやりました。やらざるを得ないぐらい時間がなかったんですね。不確定なところだけを取り出して確認して次! 次! と何周かするやり方で練習していたんです。そうしたら自分でも驚くぐらい短い期間で弾けるようになりました。そして、よく覚えているんですよ。通し練習するよりもずっと早く楽譜通りに弾くことができました。
実際のレッスンでも時々行っていますが、30分のレッスン中に苦手箇所を2、3回挟むだけでも結構効果があります。
この時に気を付けたいのは、うんとゆっくりでいいので正確に弾くことです。
間違いを重ねるのは時間のムダになりますし、そもそも練習になりません。小学生が漢字練習で1行丸ごと間違えて書いていたらどうですか? 親や教師の立場だったら「間違えた字をいくら書いても練習にならないよ! ゆっくりでいいからちゃんと確認して正しく書いて!」と言うことでしょう。楽器練習も同じことです。
お金もかからないことですし、だまされたと思って一度やってみてください。早く弾けるようになりたい、は誰もが思うところだと思います。楽譜通りに弾けるようになるまでの時間が短ければ短いほど曲の仕上げに時間をかけられますからね。
曲の途中から練習するのが難しい場合
曲の途中から練習するのが難しいという方は、楽譜をいちいち読み直すのが大変、指の動きで丸覚えしている、なんとなくで弾いているという場合が多いと思います。そのような場合はCM練習法より前にすることがあります。よろしければ
「楽譜が読める」は「やがて弾ける」‐音名編
「楽譜が読める」は「やがて弾ける」‐リズム編
をお読みください。
そんな細切れの練習では面白くないのではないか
生徒から「気分転換もしたくてアコーディオン弾いとるのに、そんな細かくするの?」という意見がありました。要約すると「面白くないよね?」ということなんですが、CM練習法は曲としては成立しませんのでその点では面白くありませんわね。
答えから書きますと、気分転換で弾く曲は、ひと通り弾けるようになった曲にしましょう。せっかく弾けるようになった曲なんですから、それは楽しむために弾いていいのです。そこを目標に弾いているわけですから存分に楽しんで弾いていいのです。そして表現力も磨いちゃいましょう。
実は自分で弾くことの楽しさは2種類あって、
弾けるようになる楽しさ(できた!という喜び)
曲から得られる楽しさ
の2つなんですね。曲から得られる楽しさっていうのは好きな音楽を聴いたときに得られるあの楽しさですね。
この2つを混同してしまうと、弾けない状態なのに曲を通して弾こうとしてしまうんです。すると弾いている途中でつっかえてしまう。これではできた!という喜びを得にくいし、曲から得られる楽しさも途中で途切れてしまいます。
なので、この2つは分けます。
練習中の曲は弾けるようになるまで小分け練習 →弾けるようになる楽しさを得る
気分転換で弾く曲は、ひと通り弾けるようになった曲 →曲から得られる楽しさを得る
裏技2 一気にテンポをあげる裏技
この裏技は
・ゆっくりなら間違えずに弾ける状態である
ことが前提です。ゆっくりなら弾けるのになかなかテンポを上げられない、というときに有効な裏技です。
・一旦その曲の練習はやめて、得意なテンポの速い曲を弾く
・テンポを上げたい曲に戻る
これだけです。なんでなのか分からないんですけれど、これで容易にテンポが上げられます。