メトロノームと合わないから言って、拍や音符休符の長さを適当にしておくと、弾いたものが合っているのか自信がもてない、両手がなかなか合わない、という問題が起きてきます。自身を持って弾くためにもメトロノームを上手く活用しましょう。
メトロノームは大体のテンポを知る道具?
レッスンにて・・・
♩~
(うーん、テンポが不安定だな…)
せんせい「メトロノームをかけてみましょう」
せいと 「僕、家ではいつもかけて練習してます」
せんせい「おお、素晴らしいですね」
カッチ カッチ カッチ カッチ……
♩〜
(うーん、合っていないなあ…)
「ほら先生、大体合ってるでしょ!」
(大体……?)
「メトロノームって、大体の速さを知る道具でしょ? 大体合ってればいいいんですよね? こうしてたまにメトロノームと合わさるところがあればいいんですよね。」
メトロノームは拍を揃えるために使う
「メトロノームは大体のテンポを知る道具じゃないのよ」
「ええ!?」
「拍を揃えるための道具ですよ。この曲ではどこがメトロノームと合うところですか?」
「ああ! 僕そういうこと考えてなかったよ!」
「はい、合わせるところに線を引いてみて」
「はい!」
せんせい「うーむ・・・。拍については覚えていますか?」
せいと 「拍?」
せんせい「拍とは一定の間隔で打つリズムのことです。」
せいと 「打つところ、弾くところってことでいいんですよね?」
せんせい「弾くところ全てが拍ではないんですよ、基礎的なリズムのことです。メトロノームを鳴らすと一定の間隔で鳴りますよね、あれです。」
せいと 「音符が書いてあるところで鳴らせばいいんだよね??」
せんせい「何に合わせて鳴らすかってことなんですよ。この曲は何分の何拍子ですか?」
せいと 「4分の4拍子」
せんせい「拍子記号の下の4って何の4ですか?」
せいと 「え? 4拍子・・・?」
せんせい「上の4は何ですか?」
せいと 「え? 4つ・・・伸ばす?」
せんせい「まずはそこからですね~~」
拍子記号(曲の始めに書いてある分数状の記号)の下の数字は1拍の長さ
拍子記号の下の数字は1拍の長さを表します
2 →2分音符
4 →4分音符
8 →8分音符
です。
上の数字は拍子を表しています。
2 →2拍子
3 →3拍子
4 →4拍子
6 →6拍子
です。4分の4拍子なら、「4分音符で1拍」の4拍子、という意味です。
楽譜上の拍の位置を確認する
せんせい「拍と拍子のことは分かりましたか?」
せいと 「はい!」
せんせい「では再び『メリーさんのひつじ』に拍の線を引いてみてください」
せいと 「はい!」
せいと 「できました!」
せんせい「ああ~・・・気持ちは分かる」
せいと 「違うの!? だってこの・が8分音符1個分でしょ」
せんせい「そう、そう、そうなんだけど、この見方をすると右と左とを合わせてみるときに大変でしょう」
せいと 「そこ、両手で合わせにくいんですよ」
せんせい「あと2小節目の4拍目は・・・」
せいと 「そこ、右手が休みだから拍はないかなって。」
せんせい「休符でも拍に合わせるんですよ。両手とも休符の場合も同様です。」
せいと 「じゃあ・・・」
せいと 「こういうことですか?」
せんせい「そうですそうです。これで準備ができました。メトロノームの打つところと、この拍の線を引いたところを合わせるんです!」
たまに合うのは合ってない
♩(メトロノーム) カッチ カッチ カッチ カッチ
せいと 「あ、遅れた! よし合った! あれ? 合ったこれくらいか! あれ?遅い? ん?もうちょっと速くかな よし合った あれ?速い? ・・・せんせい、こんな感じでメトロノームに時々は合うんですよ!」
せんせい「時々合うのは合っていません」
せいと 「ええー!! こんなに頑張ってるのに!」
せんせい「今、どういうことになっていたか図解してみますね。音符がメトロノーム、縦線が弾いたタイミングです。」
せんせい「メトロノームは均等幅なのに、実際は不均等になっています。遅れたあとに間合いを詰めてメトロノームに合わせる、その詰めた間合いで次を弾こうとすると今度はメトロノームより速くなる、速くなったあとに長めに間合いを取ってメトロノームに合わせる、その長めでとった間合いで次を弾こうとすると今度はメトロノームより遅くなる・・・このような合わせ方では永遠に合わない上にかえってバラバラした弾き方になりますね。」
せいと 「ああ~・・・」
せんせい「メトロノームを聞いてから合わせようとするとこうなります。あとメトロノームの針の動き(電子メトロノームの場合は点滅)を見て合わせようとしても合いません。」
せいと 「確認してからじゃ遅いってこと?」
せんせい「そうです。」
せいと 「無理だよ、そんなの。」
せんせい「エスカレーターってどうやって乗ってます?」
せいと 「へ? そんなん、普通に乗ってるよ。」
せんせい「立ち止まってエスカレーターの継ぎ目のところから乗りたい段が出てくるところを見て確認してから足を出してます?」
せいと 「そんなことしてたら かえって乗れないよ。」
せんせい「縄跳びを跳ぶとき、自分の足元に縄が回ってきたのを目で見て確認してから跳んでましたか?」
せいと 「そんなことしてたら跳べないよ・・・って、え?そういうこと?」
せんせい「そう。」
せいと 「ええー!?」
せんせい「メトロノームをあらかじめ聞いておいて、拍と拍の間隔を確認してから同調させるんです。」
せいと 「できるの!?」
せんせい「ちょっと練習はいりますけれどね。エスカレーターはおんなじ間隔で段が出ているのを経験で掴んでいるから乗れます、縄跳びは何回かやっているうちに同じ間隔で飛び跳ねることを習得して跳べます。人間の脳はそういうことができるんですよ。」
せいと 「できるのか・・・」
せんせい「できますよ。」
メトロノームと合わせるコツ - 裏拍を感じ取る
せいと 「せんせい、メトロノームと合わせるのも難しいし、そもそもこの線が弾いてないところの音符、この『ラ』、1小節目の右手のラのとこはメトロノームが鳴らないでしょ。そこが上手く弾けなくって苦労しているのに、どうすればいいの」
せんせい 「裏拍を取ることで一挙解決です。」
せいと 「ああ、『と』をいれるやつ」
せんせい「4分音符で1拍の拍子で8分音符が出てきたときには『と』を入れて対応します。この『と』のところがいわゆる裏拍(通称ウラ)になります。」
せいと 「その『と』をいれるタイミングが難しいんだけれど・・・」
せんせい「そうなんですよ。いわゆるリズム感が悪いといわれる症状のほとんどは裏拍が取れないから起こるんですよ。」
せいと 「え!?」
せんせい「逆に云うと、裏拍が取れれば色々な問題が解決します。」
せいと 「どうすれば・・・」
メトロノームを使った裏拍を取る練習
・テンポ40(40が指定できない場合は42)でメトロノームをかけます
・メトロノームの音と音の真ん中で手を叩きます
せんせい「やることはこれだけです。」
せいと 「難しいんですけど!!」
せんせい「コツはあります」
せいと 「それをはやく教えて!!!」
せんせい「昔ながらの針が左右に振れるタイプのメトロノームってありますよね、あれをイメージしてください。昔ながらのメトロノームって針が左端と右端に寄ったときに鳴りますよね、同じように体を揺らしてください。そしてメトロノームが鳴るとき、足踏みをします。体が左に寄るときは左足、右に寄るときは右足を踏み1234の各拍の数字を数えます。体が真ん中に来るときが拍と拍の真ん中で、ここに『と』を入れます(手を叩きます)。」
せいと 「さっきよりやりやすい・・・・でも段々ずれてきちゃう。ずっとは難しいです。」
・難しいときはリズムを♪(8分音符)指定にしてメトロノームを鳴らします。(♪がない場合はテンポ80にします)
せんせい「そうすると『と』のタイミングでもメトロノームが鳴ります」
せいと 「これならできます。」
せんせい 「このときに数え方を12345678や12341234にしないように注意です、1と2と3と4とで数えてください。これで『と』のタイミングが掴めたら、8分音符指定から4分音符指定に戻して練習します。『と』が感じ取れるようになればメトロノームに合わせるのも容易になってくるはずです。」
せいと 「これ、できるようになるまでにちょっとかかりますよね。」
せんせい「各人のそれまでの経験量によりますけどね、どなたでも1週間くらい続けるとかなりよくなりますよ。」
メトロノームとの合わせ方 まとめ
楽譜上の拍の位置を確認しておく
弾けるところまでテンポを落とす
拍と拍の間隔が掴めるよう、メトロノームを聞いて確認してから弾く
裏拍を感じ取る
「楽譜が読める」は「やがて弾ける」‐拍、リズム編
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