アコーディオンには右手が鍵盤のものと、ボタンのものとあります。どちらにしようか迷われている方、持ち替えを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ボタン式アコーディオン(ボタンアコーディオン)そのものの説明は「ボタン式アコーディオン(ボタンアコーディオン)とは」にありますので、ボタン式アコーディオンという言葉について今一つあやふやだという方はまずはこちらをお読みください。
※鍵盤式アコーディオンはピアノ式アコーディオンとも呼ばれます。
鍵盤式アコーディオンとボタン式アコーディオン、どちらが良いか
これは私の個人的な意見ですが、鍵盤式アコーディオンとボタン式アコーディオン、
「どっちもいい」
ですね。どっちでもいい、ではありません。どっち も いい ですね。
私は鍵盤式をまず習得し、次にボタン式も覚えました。ボタン式も覚えたのは「やっぱりアコーディオンはボタン式じゃないとね」なんて思ったわけでは全くなく、必要があったからです。
鍵盤式からボタン式への持ち替えは右手は一から覚える必要がありましたが、5年くらいで鍵盤式と同じくらい弾きこなせるようになりました。必要があったとはいえ、自在に扱えるようになった今、やってよかったと思っています。
ボタン式アコーディオン、鍵盤式アコーディオン 違いとそれぞれの良さ
ボタン式アコーディオン、鍵盤式アコーディオンはどちらも特別な説明がなければ左手側はストラデラベース(スタンダードベース)です。左手側のボタンについては別のページでねっちり解説しています。(記事の最後にリンクを貼っておきます)
ボタン式アコーディオンと鍵盤式アコーディオンの違いは右手側の形状の違いです。それによりボタン式アコーディオンの方が全体の大きさが小さくなりますが、リードの本数が多ければボタン式も鍵盤式と同等の重さになります。
ボタン式を弾いてみて分かったことは、ボタン式アコーディオンで作られた曲はやはりボタン式アコーディオンで弾く方が弾きやすいということでした。配列が同じタイプに限られますけれどね。
ミュゼット(ここでは1900年代~1950年代にフランス パリで流行したアコーディオンを主体とした器楽曲と、その後その様式で作られた曲)がうまく弾けたときなどに、不思議としっくりとした感じがします。
しかしこれは鍵盤式という比較対象があるから感じるもの、鍵盤とボタンと両方弾く人間だけが得られる感覚なのだと思います。
逆にボタン式では思わぬメロディーが弾きにくいときがあり、このようなときは「鍵盤って万能ね、鍵盤って素晴らしい」と思います。これも鍵盤とボタンの両方を弾いているから感じるのだと思います。
よく言われるのはオクターブ奏や半音階の上昇下降はボタン式が弾きやすいということで、これは間違いありません。しかし、重音、特に三度奏の連続は一直線に並んでいる鍵盤が圧倒的に有利です。
「鍵盤が白鍵と黒鍵に分かれているが、ボタン式は白鍵も黒鍵も同じ高さで並んでいるので♯や♭の多い調でも弾きやすい」も良く言われますが、鍵盤は白鍵と黒鍵に分かれているために手元を見ずに弾きやすい、♯が4つ、5つになるとかえって弾きやすい(譜読みに難がなければ)、という利点があります。これに関しては慣れが大きいと感じています。
鍵盤式とボタン式のどちらが良いか論争はずーーっと続けられている論争のひとつですが、これに決着がつくことはこの先も無いと思われます。好きな方を弾いてね。
鍵盤式アコーディオンとボタン式アコーディオン、音に違いはあるの?
ボタン式アコーディオンの高級機の中には、リードセット(金属笛が表裏2枚付いてる小さな板状のもの)がコルクで留めてある楽器があり、コルクと蝋では音が違ってきます。好みの問題でもあるのでどっちがいいとは言えません。そしてボタンアコーディオン同士、鍵盤アコーディオン同士でもメーカーや機種によって音が違ってきますので、ボタン式だから鍵盤式だからで言い切れるものではありません。
タッチ(鍵盤操作/ボタン操作)による違いですが、これは「ある」とも言えますし、「ない」とも言えます。
私の感覚の話になりますが、ボタンは鍵盤と違い横一列ではない分、タイピングのように押して弾くことになり、音と音に隙間が生じやすい、結果軽妙に聞こえます。タッチの違いは「ある」わけですが・・・
しかし、これは少し意識して押さえ方を変えれば鍵盤でもできます。そうすると、タッチによる違いは「ない」と言えます。
鍵盤式アコーディオンがおすすめの人
・いろいろなジャンルを弾きたい
・好きな演奏家が鍵盤式
・他の鍵盤楽器の経験を活かしたい
ボタン式アコーディオンがおすすめの人
・フランスの曲が好き
・自分の好きな演奏家がボタン式
・ボタン式に興味がある
ボタン式アコーディオンは教本が乏しいと聞いたけど・・・
確かに、ボタン式アコーディオンの教本・教則本は海外の本が中心で、日本語で書かれたものがほとんどなく、教室も少なく、楽器の入手以上にこちらが困難で鍵盤式を選択する方も多かったと思いますが、日本語のアコーディオン教則本を私が作りました!!
日本語じゃないとなかなか大変だと思いまして、教室で使う教本を自作したところ、全国から欲しいという声があり、独習用に作り直しました。興味のある方は【独習用】アコーディオン教則1巻(ボタン式/鍵盤式)へどうぞ。販売サイトはアコーディオン教則本 - みかづきアコーディオンです。
結局どっちがいい?
好きなほうでいいと思います。
私のように両方やるとしても、いきなり両方は大変なので好きな方から始めるのがよいでしょう。
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