アコーディオンの弾き方 ボタン式アコーディオン

ボタン式アコーディオンの運指、音階配列

この記事ではボタン式アコーディオン、イタリー配列(Cシステム)の音階と、その覚え方の話をしていきます。

この記事の内容についての動画もあり、配列図を大量に見たい方はこちらがおすすめですが、読み上げソフトが苦手な方はこのまま読み進められることをお勧めします。

 

 

アコーディオンの右手ボタンの運指は5音ずつで覚える

「ドレミファソラシドってどうやって弾くんだろう?」とドレミファソラシドの弾き方が気になる方は多く、過去の私もそうでした。しかし、ドレミファソラシドの8音からいきなり始めるのはハードルが高く、ここが独習序盤の最大の挫折ポイントと言っても過言ではありません。理由は3つ、

・指は5本しかないのに8音も連続で弾くのは初心者には難しい
・構造上、ドレミファソラシドが一直線に並んでいない
・自由度が高く、様々な道(音階配列)が考えられる

からです。

ではどうすればいいかというと、見出しにも書いてあるとおり、はじめは5音ずつで覚えます。ボタン式アコーディオンの右手ボタンには基本の型が3つあると私は考えています。

 

 

ドレミファソ C型

おそらく初心者の方でも自分で見つけることができるであろう、ドレミファソの型です。ここでは「C型」と呼ぶことにします。(※型の名前はここでの説明の為に、私が勝手に付けたものです。

 

ボタン式アコーディオンの運指 ドレミファソ

ドレミファソの5音のみを弾く場合、私の教室では

ド 1
レ 2
ミ 3
ファ4
ソ 5

の指番号です。しかし曲中ではドレミファソと順番に弾く場合ばかりではありませんし、前後の旋律によって指番号は都度変わるということは一応お断りしておきます。

C型のドレミファソを隣(物理的に床の方)にずらすと

ミ♭ ファ ソ ラ ♭ シ♭ が弾けます。
もうひとつずらせば ファ♯ ソ♯ ラ♯ シ ド♯
さらにずらせば ラ シ ド♯  レ ミ
が弾けます。
もうひとつずらせば1オクターブ上のド レ ミ ファ ソです。

※1の指(親指)は指の側面で弾きます。2~5指(人差し指から小指)は指の腹で弾きます。

 

 

ソラシドレ G型

次はソラシドレの5音です。便宜上G型と呼ぶことにします。

実はこのソラシドレは演奏家によって弾き方が色々で、ここがドレミファソラシドを難しくしている要因でもあります。これについては後で述べます。とりあえず今は基本の3列に収まるソラシドレの型を説明します。

 

ボタン式アコーディオンの運指 ソラシドレ

私の運指は

ソ 2
ラ 1
シ 2(3)
ド 1
レ 2(3)

ですが、ソラシドレの5音で収まる場合は実は違う型を使って4本の指を使うようにしています。これについては後で述べます。今は3列に収まる基本の型の話をしていきます。

G型もC型と同様、ずらせば他の5音も弾けます。

G型で
ソラシドレ
シ♭ ド レ ミ♭ ファ
ド♯ レ♯ ミ♯ ファ♯ ソ♯(レ♭ ミ♭ ファ ソ♭ ラ♭)
ミ ファ♯ ソ♯ ラ シ
が弾けます。

 

 

ファソラシ♭ド F型

ファソラシドの型は便宜上F型と呼ぶことにします。半音で並んでいるボタン向きと逆になるのが特徴です。

 

ボタン式アコーディオンの運指 ファソラシ♭ド

私の運指は
ファ2
ソ 3
ラ 1
シ♭3
ド 4
ですが、場合によっては23434と弾くときもあります。

F型もずらせば他の5音が弾けます。

F型、基本の3列で
ファソラシ♭ド
ラ♭ シ♭ ド レ♭ ミ♭
シ ド♯ レ♯ ミ ファ♯
レ ミ ファ♯ ソ ラ
が弾けます。

 

 

C型、G型、F型の組み合わせで全てのメジャースケールが弾ける

この基本の3つの型の組み合わせで全てのメジャースケール(長音階)を弾くことが可能です。

F型 + C型

F型のファソラシ♭ド と、C型のドレミファソ を使って、調号♭1つ、Key:F(ヘ長調)の音階、ファソラシ♭ドレミファ が弾けます。

 

C型 + G型

C型のドレミファソ と、G型のソラシドレ を使って、調号♯♭なしのKey:C(ハ長調)の音階、ドレミファソラシド が弾けます。

このドレミファソラシドの運指を皆さん知りたがるし、こだわる方が多いのですが、実は他の道(音階配列)もありますし、同じ道でも5本指を使う運指と4本指を使う運指では指番号が変わってきますので、ここでは指番号を書くのは控えています。

(私が知っているだけでも大まかに2種類の道がある上に、運指パターンがそれぞれ2~3はあります。)

独習の初心者の方はまずは5音ずつで覚えていきましょう。できれば教室に通うか、難しければ教則本を入手するのが良いでしょう。

 

 

G型 + F型

G型のソラシドレ と、F型のレミファ♯ソラ を使って、調号♯1つ、Key:G(ト長調)の音階、ソラシドレミファ♯ソ が弾けます。

 

C型、G型、F型、それぞれで指をずらせば他の5音も弾けたことを思い出してください。この特性のため、

ボタン式アコーディオンの右手、基本の3列では
F型+C型
C型+G型
G型+F型
この3種類で全てのメジャースケールが弾けます。

 

基本の3列、F型+C型 で弾けるメジャースケール

F型+C型 では上のファから始まるKey:Fと同様、3列目から始まるスケールが弾けます。
3列目はファ、ラ♭(ソ♯)、シ、レ、が並んでいるので、

基本の3列、F型+C型で
Key:F(ヘ長調)
Key:A♭(G♯)(変イ長調/嬰ト長調)
Key:B(ロ長調)
Key:D(ニ長調)

が弾けます。
よく使うのは調号♯2つのKey:D(ニ長調)だと思います。

 

 

基本の3列、C型+G型 で弾けるメジャースケール

C型+G型 では上のドから始まるKey:Cと同様、1列目から始まるスケールが弾けます。
1列目はド、ミ♭、ファ♯(ソ♭)、ラ、が並んでいるので、

基本の3列、C型+G型で
Key:C(ハ長調)
Key:E♭(変ホ長調)
Key:F♯(G♭)(嬰ヘ長調/変ト長調)
Key:A(イ長調)

が弾けます。
よく使うのは調号♭3つのKey:E♭(変ホ長調)、調号♯3つのKey:A(イ長調)だと思います。

 

 

基本の3列、G型+F型 で弾けるメジャースケール

G型+F型 では上図のソから始まるKey:Gと同様、2列目から始まるスケールが弾けます。
2列目はソ、シ♭、ド♯(レ♭)、ミ、が並んでいるので、

基本の3列、G型+F型で
Key:G(ト長調)
Key:B♭(変ロ長調)
Key:C♯(D♭)(嬰ハ長調/変ニ長調)
Key:E(ホ長調)

が弾けます。
よく使うのは調号♭2つのKey:B♭(変ロ長調)だと思います。

 

 

各型を4列目、5列目にずらす考え方

ここまでお読みくださった根気のある方の中には、「あれ?4列目5列目は使わないの?」と思われた方や、「ずらせば全部弾けるって聞いたことがあるけど どうなの?」と思われた方もいらっしゃると思います。
4列目、5列目も使うと自由度が跳ね上がりまして、そこがボタン式アコーディオンの良いところでもあれば頭の痛くなるところでもあります。

このドレミファソラシド、Key:Cを・・・

 

半音上にずらせば・・・

Key:C♯に。
さらに半音ずらせば

Key:Dに。

これはC型+G型に限ったことではありません。
F型+C型も

Key:F

Key:F♯

Key:G

 

G型+F型も

Key:G

Key:A♭(G♯)

Key:A

このようにずらすことで、各組み合わせで全てのスケールが弾けます。

※ひとつの組み合わせで全てのスケールを弾くには右手ボタン列が5列必要なので、4列のアコーディオンではできません。

実際、C型+G型をずらすことで全スケールを弾く演奏者もいます。
もちろん基本のC型、G型、F型の組み合わせで基本の3列に収めて弾く演奏者もいますが、運指の組み立て方にはもうひとつの考え方があります。

 

 

4列にまたがる運指の組み立て方

ボタン式アコーディオンの右手には、基本の3列におさめて弾かなくてはいけないというきまりもなければ、2~4列目、3~5列目などの、どこかの3列におさめて弾かなくてはいけないというきまりもありません。(もちろんこれらをしてもいい)

ということは、1~4列目、または2~5列目と、4列にまたがって弾いてもいいんです。

さきほどの、各組み合わせをずらしていった配列図を見て気付いた方もいらっしゃると思いますが、ずらして弾けるということは、逆にとらえると、同じ5音でも各型で弾けるということなんです。

ドレミファソ 3型

ソラシドレも

3つの型で弾けます。ファソラシ♭ドも同様に3つの型で弾けます。これを利用して

C型ドレミファソ と C型ソラシドレを使ってKey:Cを弾くことができます。

 

実はスケールだけでなく、5音で弾く時にも4列にまたがって弾いてもいいんです。私はソラシドレの5音で収まるときにはG´型(これも私が勝手に名付けていますが)を使っています。

この場合の運指は
ソ 2
ラ 1
シ 2
ド 3
レ 4
です。これだと1の指に替える回数を減らせますし、ラシドが一直線になるので気に入っています。同じ音の関係になる場合、ミ ファ♯ ソ♯ ラ シ やシ♭ ド レ ミ ♭ ファ で収まるときもこのG´型を使っています。これを使って

Key:Cをこのように弾くこともできます。結果的にはC型+G型と最後のドの位置だけが違うだけであとは同じになりますけれどね。

 

ソラシドレミファ♯ソ、Key:Gも

基本の3列に収まるG型+F型、だけでなく、

G型+G型

このような組み立て方もできますし、海外の教則本には

C型一部(ソラシ)、C型一部(ドレ)、G型(レミファ♯ ソ)
という音階配列もありました。

ファソラシ♭ ドレミファ key:Fもいくつかの組み合わせが考えられます。

基本の3列に収まる F型+C型

4列にまたがるG型+C型

 

基本の3列で弾くKey:Gと同じ組み合わせになる、G型+F型

 

結局はC型、G型、F型の3種類、あとは組み合わせの問題

現実的ではない組み合わせも入れると更に多くの組み合わせが可能ですが、考えれば考えるほど自由度が高すぎてどうしたらいいのか分からなくなってきます。私も昔、訳が分からなくなったことがありましたが、ボタン式アコーディオンの右手は突き詰めると、C型、G型、F型の3種類で、あとは組み合わせの問題でしかないことに気付いたら楽になりました。

 

ついでの話、私の組み立て方

私は「どっちみちC型、G型、F型しかないのなら、基本の3列で弾いても同じことだ」と思い、だいたい基本の3列+時々4列目で収まるように運指を組み立てています。

G型に関しては指のくぐりを減らすためにG´型も使っていますし、前後の旋律の流れによっては、ドレミファソをF型(2~4列)で、ソラシドレをC型(2~4列)で、ファソラシ♭ドをG型(2~4列)で弾くこともあります。

講師という立場上、右手ボタンが4列の楽器をお持ちの方でも弾けるように、できるだけ5列目は使わないように運指を組み立てています。5列目を使った方が便利な場合は、4列の楽器で弾く場合の運指を併せて書くようにしています。

 

 

独習の初心者はどうやって覚えたらいい?

独習の初心者の方はこの記事の始めの方でお伝えしたとおり、5音ずつ覚えましょう。

具体的にいうと、
ドレミファソ(C型)
ソラシドレ(G型)
ファソラシ♭ド(F型)
です。

 

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