うまく弾けないとき アコーディオンの練習方法

アコーディオンの練習 - いつも同じところで間違えるのは何故?

いつも同じところを間違える現象について、解説と改善策を書いていきます。これより前の段階、練習初手からの弾き間違いを減らすことについては、アコーディオンの練習の流れ(私の教室の場合) をお読みください。

 

いつも同じところで間違えるのは何故?

せいと 「いつも同じところで間違えちゃうんですよ」

せんせい 「どうして間違えるのか、原因は分かりますか?」

せいと 「ええ?! 分からないですねえ」

せんせい「うまく弾けるときもありますか?」

せいと 「20回か30回に1回ですかねぇ〜。練習がまだまだ足りないのかな? とにかく数をこなさないといけませんよね?」

せんせい「うまく弾けたときに、どうしてうまく弾けたかは分かります?」

せいと 「ええ?! それも分かんないなぁ。やっぱり練習が足りないからかな?」

せんせい「ふうむ。いつも間違える理由が大体分かりました。すでにご自分で答えをおっしゃってますね」

せいと 「あぁ、やっぱり。練習が足りないからですよね」

せんせい「いえ、そこじゃなくて、初めにおっしゃっていたことですよ。『いつも同じところで間違える』から、いつも同じところで間違えるんです」

せいと 「レッスン料、返してもらえます?」

せんせい「いやいやいやいや、簡単なことですって。間違えて弾いている回数が多いから間違えてるんですって」

せいと 「いえいえ、20回弾いたからこその成功1回ですよ」

せんせい「では、1回成功したその次の日からは間違えずにずっと成功しますか?」

せいと 「いえ、また何回か弾いて、それで弾けるようになります。でもそれが練習ですよね?」

せんせい「ちゃんと練習になっているのは成功した時だけです」

せいと 「いえいえ、何回か間違えて弾いたからこその成功なんですってば。そうじゃないと私は弾けるようになりませんもん。下手だから、いっぱい練習しないと」

せんせい「間違えた時に原因を探って対策を立ててますか? 具体的に言うと、指番号は合っているかな、この音とこの音は3つ離れているな、ここは指を置いたままで弾けるな、印はここにあるな、黒鍵を触って確認すればいいな、ここは左手が2列上に移動だな、ここは横列は同じでベースだけ移動するな、等々、確認してますか? それとも『間違えた、もう1回だ』って即繰り返してますか?」

せいと 「即、繰り返してます」

せんせい「で、また同じように間違えるでしょ?」

せいと 「そうです…」

せんせい「間違えても間違えても何回も繰り返して弾くことが練習だと思っている方は多いんですが、これが漢字の練習だったらどうですか? 間違った字でも10マス20マス書き続けたら正しくなりますか?」

せいと 「なりませんね…」

せんせい「正しくなるどころか間違えた方を覚えますよね」

せいと 「いえ、私は間違えて覚えているわけではないんです。よく間違えるだけで」

せんせい「間違えて覚えるつもりがなくても、指が、正確に言うと指示を出している脳みそが間違えて覚えていくんですよ」

せいと 「ああ……。じゃあ、間違えて弾くから次も間違えるということですか?」

せんせい「そうです。脳みそは実際にやったことの方を覚えるんですよ。その証拠に間違えるときには『いつも同じように間違えている』でしょ?」

せいと 「そうですそうです。では、どうやって練習すればいいですか?」

 

間違いを減らすには 準備が7割

せんせい「間違えるときって、いつ間違えていると思います?」

せいと 「禅問答!? いや、そりゃ、間違えて弾いちゃったときでしょ」

せんせい「間違いはほとんどの場合その前から起きています。指の準備ができていなかったり、違う場所に準備していたりして、弾く前から間違っているんですよ」

せいと 「辛辣・・・。違う音が鳴る→弾き直す、という練習では間違いは無くせないってことですか?」

せんせい「そうです。前もって指を正しい位置に準備しておくことが必要です。そのためには音名と鍵盤/ボタン位置の把握の両方が必要です。少なくとも位置の把握は要ります。」

せいと 「じゃあ、どういう練習をすればいいですか?」

せんせい「音名を唱えながら押さえる場所も思い描いて弾きます

せいと 「音名唱えるの難しいんですけど……」

せんせい「音名を唱えるっていうのは歌詞の代わりにドレミやCDEで歌うってことです。音名を唱えないと弾き間違いが多くなったり、楽譜を読むのに時間がかかったりしますね。あと、ある程度弾けるようになると、暗譜ができない、譜起こし(耳コピー)できないというお悩みも聞くようになるので、音名は唱えていた方が有利ですね」

せいと 「ああ、暗譜はできませんね。音符の上がり下がりを見て弾いているので・・・」

せんせい「音名を唱えるのが難しければ押さえる位置を思い描くことはしてください。頭の中で思い描く→手指に指示できる、準備が7割です。これができていたら何回も連続して間違えることは防げるはずです」

せいと 「やってみます」

せんせい「聞いた音をすぐに弾いて再現できる方でなければ、音名は唱えた方が有利です。学習の進度、深度、両方に関わってきます」

 

いつも同じところを同じように間違えてしまっている箇所の練習方法

せんせい「♩ラドファー と右手を弾きたいところを ♩ラシファー と弾いてしまう、というところを見てみましょうか」

せいと「いつも ♩ラシファー って弾いてしまうんです」

せんせい「お家ではどこからどこまで繰り返して弾いていますか?」

せいと 「曲の初めから終わりまでです」

せんせい「いつも同じところで間違えると分かっているのであれば、そこだけ取り出します」

せいと 「えっと…曲の初めからの方が弾きやすいんですけど」

せんせい「無駄。弾けてるところも毎回弾いていたら効率が悪いので、できないところだけ取り出します」

せいと 「はい・・・」

まずは右手、ラドファーのラドのところだけ取り出します。ラとドの位置を確認、指番号も確認してから弾きます。

右 ラド

せんせい「できましたね。次、ラドファーだけ弾いてみましょう」

右 ラドファー

せんせい「そうしたら次は前の小節だけ弾きます」

右 ミソミド

♪ミソミド ラシファー

せんせい「前の小節だけ、ミソミドだけ弾いてください」

♪ミソミド ラシファー

せんせい「前の小節だけ、ミソミドだけ弾いてください」

♪ミソミド ラシファー

せんせい「ミソミドだけ弾いて!」

せいと 「ミソミドでぱっと止められないんですよ!! それになんで間違えていない前の小節だけ弾かせるんですか?!」

せんせい「今、流れで弾いたら間違えたでしょう」

せいと 「はい・・・」

せんせい「『ミソミド』と弾いたら続けて『ラシファー』と反応するようなってしまっているんですよ」

せいと 「ああ……」

せんせい「ついでに言うと、いまやったのは『ミソミド ラドファー』の練習じゃなくて『ミソミド ラドファーだと思ってミソミド ラシファーと弾く』練習です。結果的にはそういうことです」

せいと 「わあああ……」

せんせい「『ミソミド ラシファー』と覚えてしまっているのを、『ミソミド』+『ラドファー』と1小節ずつ覚え直すんです。では強い意志でもってミソミドを弾いてください」

♩ミソミド

せんせい「いいですね。じゃあ今3回弾きましょう」

♩ミソミド、ミソミド、ミソミド

せんせい「いいですねいいですね、では次はミソミドを弾いたあと一旦止めてラドファーの指の形を作ってから弾いてみてください」

せいと 「止まっていいんですか? 間違えるのはよくないんですよね?」

せんせい「止まるつもりがなくて止まるのは間違いになりますが、練習のときに確認のために自分で止めるのはいいですよ。絶対的に避けたいのは無自覚に違う鍵盤やボタンを押さえることです」

せいと 「分かりました」

♩ミソミド…………ラドファー

せいと 「ほっ……。できました」

せんせい「じゃあ次、ゆっくり続けて弾いてみますよ」

せいと 「片手でですか?」

せんせい「そうですよ。両手はまだ早いです。ではテンポ60で弾いて見ましょうか」

♩ミソミド ラシファー

せいと 「……間違えました」

せんせい「じゃあもう一度、ラドファーを確認して」

♩ラドファー

せんせい「次はテンポを落としてテンポ55でミソミド ラドファー、いきましょう」

♪ミソミド ラドファー

せいと 「弾けました!」

せんせい「では3回くらい繰り返してね」

♩ミソミド ラドファー、ミソミド ラドファー、ミソミド ラドファー

せんせい「できましたね。ではこの2小節をテンポ55で両手で弾いてみましょう」

♩ミソミド ラシファー

せいと 「……間違えました」

せんせい「片手で弾けるようになっても両手で弾くと間違えるのは本当によくあるんですよね。きっと脳みそが両手セットで覚えてしまったんでしょうね」

せいと 「ええ〜〜……」

せんせい「片手の時と同じように1小節ずつ覚えなおします。ではラドファーの小節だけ両手で弾きます」

せんせい「3回くらい繰り返してください」

♩ラドファー、ラドファー、ラドファー

せんせい「次は前の小節だけ弾きます」

♩ミソミド ラシファー

せんせい「続けて弾いちゃ駄目だって!」

せいと 「本当だ! もうこれ癖になってますね!!」

せんせい「こうなる前になんとかしたかったですが仕方ありません。1小節ずつ区切って練習→小節と小節の間で一旦止めて確認してから続けて弾く→ゆっくり続けて弾く(間違えたら前の手順に戻る)、このやり方で正しい位置、指の動きを脳みそに上書きしてやります」

せいと 「これ、何回もやらないと上書きできませんよね。何か裏技ありませんか?」

せんせい「ありますよ」→楽器練習の裏技

せいと 「え……これ?? 前に読んでみましたけど、ちょっと………」

せんせい「この裏技、『部分』練習すぎて、早く曲が弾きたい方には不評なんですよね。楽譜通り弾くのならこの裏技を使った方が結果的に早いと思うんですけど。あと、練習初手からの弾き間違いを減らすことについては冒頭でご紹介した、アコーディオンの練習の流れ(私の教室の場合)があります。おそらくですが、このように同じところで同じように間違えるのは、曲の取り掛かりのときに音をさぐりながら弾いているからだと思うんですよ」

せいと 「始めになんとなく弾いてなんとなく間違えるところから、この事態が引き起こされていると・・・?」

せんせい「間違えるときに『私はこれから間違えて弾く!!』と、間違える鍵盤やボタンを把握して間違えて弾く人って、多分いないと思うんですよね。間違いの始まりって本当になんとなくで始まっているはずですよ」

せいと 「たしかにそうかも。次からは曲の取り掛かりのときから気をつけた方がいいですね」

せんせい「そうですそうです。その方が楽ですし、曲が早く仕上がりますよ」

アコーディオン練習 - 難しくて困ったとき
弾いたものがこれでいいのか、合っているのかが分からないとき、どうすればよいか
アコーディオンの弾き方/記事まとめ

サイトTOPへ

-うまく弾けないとき, アコーディオンの練習方法

© 2024 みかづきアコーディオン Powered by AFFINGER5