アコーディオンの弾き方 教則1巻

アコーディオンの蛇腹/持ち方、開閉姿勢

この記事の前半ではアコーディオンの持ち方と、蛇腹の開き方について、記事の後半では 楽器が重たく感じる、蛇腹が固い、蛇腹が重い、手が痛い、腰が痛い 等々の、よくあるお悩みについて書いています。

演奏での蛇腹の開閉箇所についてはアコーディオンの蛇腹の動かし方/開閉箇所をお読みください。こちらには「空気が足りなくなる」という悩みについても書いてあります。

器楽指導の先生向けには小学生の合奏用アコーディオンの弾き方という記事もあります。

アコーディオン教則1巻をお持ちの方は5頁とその解説動画もご覧ください。

アコーディオンをケースから出す

(関連)アコーディオン教則1巻05頁

・ハードケース(箱型のケース)から出すときは、楽器の裏側が下になるように床に置きます。左の箱から持ち上げるようにするとうまく出せます。
・ソフトケースから出す時は楽器を立てたまま出しても構いません。このとき片方だけの肩ベルトを掴んで持ち上げるのはやめましょう。落下防止の為、両方の肩ベルトを掴むか、底から抱えて出すようにします。
・ケースから出した後は、底を下にして床に置きます。落下防止の為、机や椅子の上には置かないようにします。

裏側を床に付けて寝かせて置いた方が安定すると思われるかもしれませんが、そのような置き方ですと蛇腹がしっかり閉じず癖が付いてしまいます。電子ではないアコーディオンの場合は中の部品にもよくありません。下図のように底(足や左手バンドが付いている面)を下にして置いてください。
裏側を下にして寝かせるのはケースから出し入れする時だけにします。

ボタン式と鍵盤式 横から見た図

アコーディオンの持ち方

練習の時は座って弾くことが多いと思いますので、まずは座奏での持ち方を説明します。

・膝が床と平行になる高さの椅子に座ります。

・楽器の裏側を自分の方に向け、楽器の底を持ち、そのまま膝に載せます。

・演奏時に下になる方の蛇腹バンド(蛇腹留め)を外します。

・楽器を演奏時の向きにします。(下図参照)

・肩ベルトを肩に掛け、上の蛇腹バンドを外します。

・演奏時の姿勢を取ります。(下図参照)

・このまま立てば立奏の形になります。

・しまう時は逆の手順を行います。

アコーディオンの持ち方

左手にはめている時計や装飾品は、外すか右手にはめ直すようにします。
初めのうちは左手ベルトをややきついくらいに締めた方が弾きやすいでしょう。たまに緩んでくるので、気が付いたときには締め直しておきます。

右の箱を右の膝、左の箱を左の膝の上に載せたくなりますが、右の箱を左膝に載せるようにしましょう。円滑な蛇腹操作のために必要です。そして左側の肩ベルトの長さから決めるのもポイントです。

服の厚み分、夏と冬では肩ベルトの長さを変えた方が良いでしょう。

右手の1※の指(親指)は指の側面で弾きます。2~5指(人差し指から小指)は指の腹で弾きます。

左手の2~5の指(人差し指から小指)も指の腹で弾きます。左手の1の指はほぼ使いません。

※指番号
1 親指
2 人差指
3 中指
4 薬指
5 小指

 

蛇腹の開閉の仕方-どのような形で行うのが良いか

(関連)アコーディオン教則1巻12頁

左手を左手バンド(左の箱の側面にあるバンド)と箱の間に通し、5の指が基本ベースに触れるところまで差し込みます。

どこか鍵盤・ボタンを押すと、空気の流れる道ができて蛇腹が動かせます。

※何も音を出さずに開閉したいときは、左の箱の側面(左手バンドのある面)の上にある空気抜きボタン(エアボタン)を押しながら開閉します。

蛇腹の開閉の基本は扇形に開いて扇形に閉じます。

蛇腹の開き方、閉じ方 形

脇を開きすぎるのもボタン操作がしにくくなるという問題を引き起こしますので、脇は自然に開いてください。肩が上がるほど開くと開きすぎです。

開いたときに左の箱が下がっていきますが、下がるのに任せます。その方が楽器の重みも使えて開きやすいからです。

空気を沢山使いたいときは扇形に開いたあと、蛇腹の下の方も開いて長方形にし、閉じるときは下の方から閉じて扇形に戻したのち、扇を閉じるようにします。


蛇腹を開くときには自然に脇を開き、手首より肘をやや外側にします。そうすることにより、

・手指が楽器本体から離れるのを防ぐ
・蛇腹が内側に曲がっていくのを防ぐ

ことができます。

扇形に開いて閉じることの利点3つ

・開きやすい
・左手ボタンの操作がしやすい
・空気の残量が目で見て分かりやすい

閉じるときに蛇腹をぐっと持ち上げて閉じるやり方(8の字を描くような開閉)は、楽器の重みを使って閉じられるという利点がありますが、手首が楽器側面から離れて左手ボタンの操作がしにくくなるという難点があります。右手しか弾かないときや、左手ボタンの操作に長けている方ならよいのですが、初級のうちは扇形に開いて閉じる方がやりやすいと思います。

演奏中の蛇腹の開閉については → アコーディオンの弾き方 / 蛇腹の開閉箇所をお読みください。

学校教育現場にある合奏用アコーディオン(左手ボタンの無いアコーディオン)の持ち方、蛇腹の開閉の仕方も基本的には同じです。

以下、よくあるお悩みに答えていきます。

 

アコーディオン よくあるお悩み

肩ベルトが肩にくいこみ重い

左膝にしっかり楽器を載せれば肩、腰の負担はあまりありません。肩ベルトが肩にくいこむ場合は楽器の重みが左膝に載っていません。

左膝を平らにして、そこに楽器の右の箱をのせ、楽器の底が膝に付くようにしてください。やや前傾姿勢の方がうまくいきます。肩ベルトが緩いようなら調節します。

 

肩が凝る

肩が凝ってしまう場合は肩ベルトが長くて肩を持ち上げています。肩ベルトの長さを調節しましょう。

 

演奏中でも蛇腹が固い

両手とも休符の時にも蛇腹を押したり引いたりしていないか見直してください。両手とも休符の時は、どこの鍵盤もボタンも押していないので、空気の流れ道がありません。空気の流れ道が無いときに蛇腹を動かそうとすると固いと感じます。

 

蛇腹が重い

蛇腹が重いと感じるのは、蛇腹が開いて伸びているときに床と平行になるように持ち上げているからです。手首が痛くなってくる場合もありますので注意です。

蛇腹が下がっていくのがなんとなく不安という場合
蛇腹で左と右の箱は繋がっているので、閉じたときに自然に上がってきますので心配しなくても大丈夫です。

ボタン操作のために左の箱を持ち上げようとしている場合
左の箱が下がって斜めになっているのに左手の角度はそのままで弾こうとすると弾きにくくなります。本体の角度と手首の角度のずれを直そうとして蛇腹を持ち上げながら弾くと重さを感じてしまいます。蛇腹を開くと左の箱は自然と斜めになっていきますから、それに合わせて左手も斜めにしてください。具体的にいうと手の平を楽器側面に当てて弾いてください。

 

楽器が右側にずれてくる

楽器の持ち方をもう一度確認します。特に肩ベルトの長さを左側から決めているか、楽器の重みを左膝に載せているかをチェックしてください。

その上でのコツですが、少し胸を張って押し当てるとよいです。

さらに幅広の布(兵児帯が最適)を楽器とお腹の間にまず通して後ろに回し結びます。楽器が安定し、正しい位置を身に付けやすく、腰の保護にもなります。

 

腰が痛い

考えられる理由は2つあります。

右手を見るために上体を後ろに倒している‐その座り方だと腰に負担がかかります。楽器を真っ直ぐに立てるようにします。右手側はちょっと見にくくなりますが、そういう楽器なのです・・・

もう一つは脇を締めた状態で蛇腹を開いている - 脇を締めたまま腕を外側に開くと、手は横ではなくコンパスを回すように後ろに移動します。これは人体の構造上そうなります。そうすると蛇腹が内側に曲がっていきます。頑張って開いても蛇腹の内側が曲がってすぼんでいく→思ったよりも空気が入らない状態になります。このとき上体が後ろ反りになり、腰に負担もかかります。

解決方法は蛇腹を開くときに脇を開いて、手首よりも肘を外側にすることです。そして少し前に押し出す感じで蛇腹を開くと蛇腹が内側に曲がらずに開くことができます。

上に書いた幅広の布で結ぶことも有効です。

 

左膝が痛い

蛇腹で挟んで痛いのは論外。右の箱を左膝に載せること。
右の箱が左膝に載っているのに痛い場合は、多くは蛇腹バンド(蛇腹留め)や肩ベルトの金具が当たって痛いのだと思いますが、これは楽器がやや後ろに倒れているためです。まずは膝が床に対して平行になるように座り、少し前傾姿勢にします。(今までよりは前傾という意味で、極端に前のめりにはならないこと)。
金具は箱の自分の体側にあることが多いと思いますので、そうではないところを膝にくっつけるようにします。
右の箱の重みが左膝にうまく載らない場合は、一度立って楽器が自分の体にくっついている感覚を得てからそのまま椅子に座り、ちょっとだけ前に体を倒してみてください。

座って1~2時間アコーディオンを弾いていると、左膝がじーんと痺れてくることはあります。時々は立って血の巡りを良くしましょう。

 

蛇腹を開くときに、手の平が楽器から離れて弾きにくい

これの原因は「腰が痛い」原因の2つ目と同じで、脇を締めた状態で蛇腹を開いているためです。

脇を締めたまま腕を外側に開くと、腕が捻じれて手の平が上を向きます。これは肘から先の骨が2本あるためで人体の構造上そうなります。手の平が上を向く(結果、楽器から離れる)とボタン操作がしにくくなります。

解決策も上と同じで、蛇腹を開くときに脇を開いて、手首よりも肘を外側にします。その姿勢にしただけで左手が楽器側面に押し当てられるのが分かると思います。

 

蛇腹を開くときに左手首が痛い

このときも左腕が捻じれ、左の手の平が楽器から離れていると思います。左手首だけで蛇腹を開こうとしないことです。これに加え、休符で何も音が出ていないときに引っ張っていたら、かなり痛くなってくるのではないかと思われます。脇を開き、肘を外にして蛇腹を開くようにします。

この場合、左手バンドも緩んでいることが多いので締め直します。

蛇腹を開くときには楽器の重みも使います。筋肉は上腕と腕の付け根の筋肉を使ってください。

 

左手が捻れて痛い、とてもB♭やE♭なんて押せない

手首の位置が列に対して高く、指先だけ下に向けてB♭列やE♭列を弾こうとすると手は捻れます。指先の横列の角度を保ったまま手首を下げるようにします。

 

左手が捻れて痛い、とても7コードやdimコードなんて押せない

肘をまず下げてみてください。その上で、指先が横列に沿っているか、手の差し込みが十分か、手の平が自分の体の方を向いているか、手首の位置が適切かを確認します。

指が曲がらず伸びた状態でボタンを押している場合は手の差し込みが不十分です。7コードやdimコードを弾くときに手首の位置を体の方に寄せてしまうことも多いので注意しましょう。7コードやdimコードも押せる手の位置でMコードやmコードも弾くようにします。

手の平が自分の体の方に向いていない(左手ボタンの付いている面に向いていない)と、ボタンから指が遠くなり操作がしにくくなりますので、手の平の向きにも注意します。

弾きたいコードの列に対して手首の位置が高いと上の項でも説明したように指先だけで対応することになり、手が捻じれて痛くなります。この場合は手首の位置を下げます。手首が下がらないときは肘の位置も高いので肘を下げます。

 

左腕(肘から先)が痛い

左の手の平が楽器から離れた状態で、普段 単独ではあまり使わない4の指(薬指)を動かし続けたためだと思われます。そのまま無理して弾き続けると腱鞘炎になるおそれがありますので、まずは左手、左腕を一旦休ませてください。

その上で、正しい姿勢に直していってください。注意する点が多いので大変だとは思いますが、とりあえず左手バンドを締め、脇を開き、上腕と腕の付け根の筋肉で開閉するだけでも違ってきます。

 

左肩が痛い

脇を開きすぎて左肩があがっていないか確認しましょう。この場合、左手が極端に楽器側面に押し当てられ、ボタン操作もしにくくなします。

 

左上腕が痛い

ちょっと筋肉痛だろうか、くらいなら正しく腕を使えている証拠で問題ありません。筋力が付いてくると痛くならなくなります。
アコーディオン演奏で左上腕が激しく痛む人には出会ったことがないので、激しく痛むようならアコーディオン以外の理由があるのではないかと思います。

四十肩、五十肩の場合は注意してください。この場合は肩を余計に傷める場合があります。

空気が足りなくなるというお悩みついてはアコーディオンの蛇腹の動かし方 / 開閉箇所の記事後半で書いています。

 

アコーディオンの弾き方/記事まとめ
アコーディオン楽譜のきまりと左手楽譜の読み方
アコーディオンの左手の構え方‐アコーディオンの左手が見えない問題
両手で弾けないとき
【独習用】アコーディオン教則1巻(ボタン式/鍵盤式)のご案内

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