アコーディオンの弾き方

アコーディオン練習の流れ(私の教室の場合)

私の教室で推奨している練習の仕方をここでは書いていきます。
講師にできることは実は限られています。生徒さんの代わりに覚えたり練習してあげることはできないのです。その代わりに講師ができることは「練習の仕方を伝えること」です。

実は練習不足は下手を作りません。練習不足の人はただ単に弾けない人です。音やリズムが間違ったままの練習が下手を作ります。練習の仕方が上手い人が演奏も上手くなっていきます。

練習では自分の出した音をよく聞いて確認することが大事です。

記事が長いので、はじめにまとめたものを載せておきます(この記事の最後にも載せています)

練習の流れ

調号、拍子、Key(調)、主音、3コード(主要三和音)を確認

楽譜を読みながらテンポを落として片手練習

2小節や4小節で区切りながら練習する

弾きにくいところは取り出して練習

できるようになったら両手を合わせる

両手で弾きにくいところを取り出して練習

両手で弾けるようになっても時々片手練習に戻る

テンポは初めはゆっくり、弾けるようになったら徐々に上げる

ある程度弾けるようになってからお手本演奏を聴いて確認

‐‐‐

合格ラインは「いつでも弾ける状態」

ひと通り楽譜通り弾けるようになったところが実は始まり

音符を読む前に調号と拍子を確認

レッスンで「次この曲ね」と新しいページを開いたときには、まずは

調号と拍子を確認

してもらっています。1巻の真ん中以降では講師と

Key(調)、主音、3コード(主要三和音)を確認

します。教則本2巻に進む頃には、生徒さんにKey、主音、3コードも答えてもらっています。(ちなみに3コードはスリーコードと読みます。)

たまに音符だけ見て弾き始める人がいますが、よくあるのは調号(ト音記号、ヘ音記号の右隣についている♯や♭のこと)の見落としです。

調号の情報はとても大切で、♯♭の有無だけではなくてKey(調)も調号で分かりますので、弾く前に必ず確認するようにします。

拍子も同様です。拍子記号を見ずになんとなく弾いている方、「拍って、曲に合わせて打ってるやつでしょ」くらいの認識の方は拍と拍子についての知識が抜けている可能性が大です。アコーディオンの楽譜を読む前の基礎知識の「拍、拍子」の項を参照してください。

楽譜はまず読む、読みながら弾く

楽譜はまず読むこと
楽譜を読みながら弾くこと

何を言っているんだ・・・と思われたと思いますが、これが楽譜が読めるようになるために非常に大切なことなのです。教室では楽譜の読み方に慣れるまで音名で読み上げてもらったり、音名のテストをしたりしています。

楽譜を読むって、そりゃ当然でしょ、と思われたかもしれませんが、案外、楽譜を読まずに別のことをする人がいるのですよ。

<練習で弾く前にこんなことをしていませんか>

・楽譜にドレミ・・・を書き込む
・全ての音に指番号を書きこむ
・手本演奏を聞く、またはYouTubeで探す

これらがあんまりよろしくない理由を書いていきますね。

・楽譜にドレミ・・・を書き込む
  →練習のときに音符ではなく書いた文字を見るようになる
  →音符で示している長さは文字で表しきれないのでリズムのミスを招きやすい

・全ての音に指番号を書き込む
  →練習のときに音符ではなく指番号を見て指の運動で覚えるようになる

・手本演奏を聞く、またはYouTubeで探す
  →耳で覚えてから弾くので楽譜をなんとなく見るようになる

↓ 結果 ↓
楽譜の読み方がなかなか身に付かない

楽譜を読むのに時間がかかると、新しい曲を覚えるのにとても時間がかかります。また間違えて覚えてしまったときに、どこをどう間違えているのか楽譜を見ても確認できないので修正にも時間がかかります。楽譜の読み方を身に付けずに毎回それをしていると・・・

↓ 結果 ↓
練習が億劫になってきます。

これを防ぐために
楽譜を読む、読みながら弾く

ことをしていただきたい。お手本演奏を聴いて耳で確認するのは、ある程度楽譜を読んで弾いてからにしましょう。

具体的に楽譜を読む」というのは、頭の中で音の名前を読み上げていく(歌う)こと

です。このとき、音の高低だけでなく
音符や休符の長さも拍に合わせて読み取ります。

音符、休符、拍、拍子については アコーディオンの楽譜を読む前の基礎知識 を参照してください。

あと、気を付けたいのは、弾けるようになっても常に音名を唱えるということです。
はじめのうちは音名を唱えるけれど、覚えてきたら音名を唱えない方がいらっしゃいます。これをすると、楽譜の読み方がなかなか身に付きません。
次につなげていくためにも、弾くときには音名を常に唱えるようにしましょう。
そんな面倒なことをしなくても、聴いたら楽器のどこを弾けばいいのかすぐに分かるしすぐに弾ける、という方は音名は読み上げなくてもいいのですが、そうでない方は音名を読み上げるのが確実ですし、将来的に暗譜(楽譜を見ずに弾く)や、耳で聴いて譜起こし(いわゆる耳コピー)をしたい方は音名が分からないと大変に苦労することになります。

片手練習 ‐ 小分け練習

調号、拍子を確認したあと、片手ずつ弾きます。難しいところは2小節や4小節ずつ小分けにして弾きます

教室では、うまく弾けないところは講師が拍を数えるのに合わせて楽譜上の音符を指で追ってもらうこともあります。

片手ずつ確認したあと、次に両手を合わせます。これも難しいところは2小節、4小節区切って少しずつ合わせてください。

両手を合わせることにまだ慣れていない場合は1拍ずつ合わせます。

意図せず止まるのはミスになりますが、自分で確認のために止めて確認しながら弾くのは問題ありません。

小分け練習→ここが弾けた→ここも弾けた→全部弾けた→曲から得られるいい気分を堪能

このサイクルに上手く乗れると練習が好きになります。

「両手で合わせるようになってからは常に始めから終いまでの通し練習」という練習の仕方をしていると、「右手を弾いていないと左手のタイミングが分からない」、「左手を弾いていないと右手のタイミングが分からない」という状態を引き起こすようになります。

楽譜の読み方、特に左手の楽譜の読み方が適当になり、いつまでもヘ音記号が読めないという状態もよく引き起こします。

更によくないのが片手ずつでしっかり弾けないうちに両手練習に移ってしまうこと。右、左のどちらかがつっかえるところで もう片方も待つことになり、やがては待っている状態‐拍が乱れている状態に慣れてしまう。片方のミスのためにもう片方も間違っていってしまうという、いわゆるヘタ練習というやつです。

片手ずつ正確に弾けるようになってから両手を合わせましょう

両手で弾けるようになっても、時々片手練習に戻ってください。上記のような誤りを無くすために大切なことです。

‐‐‐‐

*初見力(楽譜をパッと見てパッと弾く)をつけるには、いきなり両手で弾くことも大切なことですが、これは初級を過ぎてから、楽器の扱いに慣れてからでいいと私は思っています。

部分練習

これも多くの指導者が推奨していますが、

できないところは取り出して練習

早く弾けるようになりたいばかりに曲の始めから終わりまでの通し練習ばかりする人がいますが、かえって効率の悪い練習です。弾きにくいところだけ取り出して練習する方がずっと練習時間を短くできますし、確実です。

たとえば明日、学校の漢字テストで10文字出るとしましょう。先生が「この10文字を出す」と教えてくれました。あなたはそのうちの2文字をまだ覚えていませんが、10回くらい書いたら覚えられそうです。そのとき 10文字全部10回書き取りますか? 2文字だけ10回書き取りますか?

2文字だけ10回書き取るのではないでしょうか。慎重な性格の方でも他の8文字は1回書いて確認して終わりだと思います。

弾きにくいところだけ取り出すのがなんだか嫌だ、かえって面倒くさい、と感じる場合は、楽譜を読む力がしっかり身についていない可能性があります。耳と指の運動で覚えてしまうと、曲の途中から始めるのが難しくなりますし、楽譜を読むことも煩わしく感じてしまうのです。このことに関しては「楽譜があまり読めない、なかなか弾けない」とはに詳しく書いています。

テンポを落として練習

弾けるようになってからテンポを上げるのは容易ですが、速いテンポで間違えながら弾いているものを正確な演奏にしていくのは難しいので、練習の取り掛かり始めはテンポを落として練習するようにします。目安としては楽譜に書いてあるテンポの半分(100と書いてあったら50)くらいから始めるとよいです。弾きにくい箇所、難しい箇所もテンポを落とすことで弾きやすくなります。

この時、弾けないところに合わせて全体のテンポを落としますメトロノームを使ってください。弾けないところだけ勝手にテンポを落とさないこと! これをすると部分的にテンポの乱れた曲に仕上がります。

両手で合わせられるようになり、間違えることもなくなったら徐々にテンポを上げていきます。

メトロノームとの合わせ方は
メトロノームと合わせる
を参照してください。

合格の目安は「いつでも弾ける状態」であること

レッスンで「合格」になる目安は、1回目で弾けたときです。

何回も弾いてようやく弾ける状態は、まだ弾けるようになる途中の段階です。想像してみてほしいのですが、もし人前で演奏するとなったときに「あ、もう一回いまのところやり直します」「何回かやったら思い出して弾けるようになるんです」と言ってやり直しするかといったら、しないと思うのですよ。それを聴いている立場だったとしたら「まだこのひと弾けないんだな」と思うと思います。なので、

その曲が弾ける状態というのはいつでも1回目で弾ける状態です。

独習の方もここを目安にしてください。

ひと通り楽譜通り弾けるようになったところが実は始まり

とりあえず楽譜通り間違えずに弾けるになった! その達成感は充分に味わってくださいね。

実は音楽的にはひと通り楽譜通り弾けるようになったところが始まりです。その後は表現の世界に入っていきます。上で合格の目安について書きましたが、ここからは明確なゴールのない世界に入っていきます。

練習曲(弾き方を覚えるための曲)については「合格した、できた、おしまい」でいいのですが、演奏曲については楽譜通りに弾けるようになってから後の、表現力を磨く期間の方がうんと長くなります。そして本当に面白いのはこの部分なんですね。

レッスンに通われている場合は、レッスンまでにひと通り楽譜通り弾けるようにしておくのが実は理想です。表現方法の指導がその講師の技術や経験、感性などが学べるところだからです。そしてそこを教わったとおりにやってみたり、自分でも工夫してみたりするのが一番面白いところだからです。

練習の流れ まとめ

調号、拍子、Key(調)、主音、主要3和音を確認

楽譜を読みながらテンポを落として片手練習

2小節や4小節で区切りながら練習する

弾きにくいところは取り出して練習

できるようになったら両手を合わせる

両手で弾きにくいところを取り出して練習

両手で弾けるようになっても時々片手練習に戻る

テンポは初めはゆっくり、弾けるようになったら徐々に上げる
メトロノームを使う

ある程度弾けるようになってからお手本演奏を聴いて確認

‐‐‐

合格の目安は「いつでも弾ける状態」

ひと通り楽譜通り弾けるようになったところが実ははじまり

何かの課題で難しくて進めなくなったときは、学習段階を飛び越していないか、抜けがないか、点検しましょう。
アコーディオン練習 - 難しくて困ったとき を参考にしてください。

生徒からの質問 ‐音名と拍、どちらを唱えればいいのか

2019年7月28日 記

先日、生徒から質問がありました。

「せんせいは音の名前を唱えろというけども、拍も数えなきゃいかんでしょ? どっちを唱えればいいの?」

おおー、そう言われればそうですね・・・
私自身が楽譜に慣れっこであまり感じなかったのですが、初心を忘れてはいけませんね・・・

演奏時に唱えてほしいのは音名です。
心(頭)の中で打つ拍に合わせて音名を唱えてほしいです。

しかし、楽譜から読み取ってもらいたいのはまずは拍とリズムです。こちらが先です。

このときは「1と2と・・・」と拍を数えながらリズムを読み取ります。

リズムが分かったら音名を読み取ります。
拍は心(頭)の中で打つようにしますが、このときには「いちにいさんしい」という言葉ではなくて、打つ感覚を思い浮かべることになります。
とはいえ、音名と拍の両方に気を配るのは難しいのでメトロノームを使います。

リズムを間違えている(メトロノームとずれる、両手が合わない)時の部分練習では拍を数えて確認するようにしてください。

 

楽器練習の裏技
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